介護保険外サービスとは?内容例やメリット・デメリットを解説

在宅介護サービスの種類

更新日 2023/02/22

介護保険の対象にならない介護保険サービスは種類も多く、利用者のさまざまなニーズに対応しています。介護保険外サービスを知っておくことで、介護の幅も広がります。

介護保険外サービスは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。またそのメリットとデメリットについてもまとめました。

介護保険サービスと介護保険外サービス。両方のバランスをとって、より良い介護を目指したいですよね。

この記事を監修する専門家

みらいど 代表

福島 実

2004年から福祉の仕事に就き、訪問介護職員、デイサービス管理者などを経験。2015年から介護支援専門員としてのキャリアをスタートさせ、2022年8月に「みらいど」を自ら起ち上げる。2023年6月には「一般社団法人みらいど」に法人化。同年に「みらいどケアプランセンター」を立ち上げ、福祉を軸にした多角的に運営をおこなう。保有資格:介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。

みらいど

Contents

目次

  1. 介護保険外サービスとは?
  2. 介護保険外サービスの内容例
    1. 訪問介護系の保険外サービス
      1. 外出支援サービス
    2. 通所介護系の保険外サービス
      1. お泊りデイサービス
    3. 高齢者の見守りサービス
    4. 配食サービス
    5. 訪問理美容サービス
    6. 地方自治体サービス
      1. おむつの支給・おむつ代の助成
      2. 緊急通報システム
  3. 介護保険外サービスのメリット
    1. サービスの幅が広がる
    2. 家族の負担を軽減できる
    3. 生活の質(QOL)の向上に繋がる
  4. 介護保険外サービスのデメリット
    1. 金銭的負担が大きい
    2. 不要なサービスが提供される可能性もある
  5. 介護保険外サービスは計画的に利用しよう
  6. 介護保険外サービスに関するよくある質問
    1. 介護保険外サービスはどのようなことをしてくれますか?
    2. 介護保険外サービスは誰でも利用できますか?
    3. 介護保険外サービスを利用することでどんなことが期待できますか?

介護保険外サービスとは?

介護保険外サービスの利用では、利用料を全額自己負担する必要がある

介護保険外サービスとはその名称の通りに介護保険の対象にならないサービスのことです。介護保険の対象ではないので、当然、費用は全額自己負担です。

介護保険の対象になるサービスが介護をおこなう上で最低限必要なサービスであるのに対し、介護保険外サービスは、より自由度の高いサービスになります。

介護保険の対象サービスは要介護の高さによって利用に制限があったりしますが、介護保険外サービスは要介護の低い人でも誰でも受けることができます。

介護保険外サービスの内容例

介護保険外サービスにはいろいろな種類があります。具体的にどのようなものがあるか例を見ていきましょう。

主な保険外サービスの種類は以下の通りです。

  • 訪問介護系の保険外サービス※外出支援サービスなど
  • 通所介護系の保険外サービス※お泊りデイサービスなど
  • 高齢者の見守り
  • 配食
  • 訪問理美容
  • 地方自治体サービス※おむつの支給・おむつ代の助成、緊急通報システムなど

訪問介護系の保険外サービス

訪問介護の介護保険外サービスは、ニーズは高かったものの通常の介護保険では対応できないような、日常的なサポートが中心。例えば、介護が必要な高齢者が一人ですることが難しい料理の準備や、大掃除といったものを代行するサービスです。

サービス範囲は広く家族旅行への付き添いやペットの世話といったものもあります。

外出支援サービス

外出支援サービスは、歩行に不安がある方や車いすの方の外出をサポートするサービスです。

公共交通機関に乗ることが難しい場合は、車いすのまま乗り降りできる介護タクシーなどを利用します。外出支援サービスは利用が多く、自治体や社会福祉法人サービスを主にサービスを提供しています。

通所介護系の保険外サービス

通所介護の保険外サービスは、主に介護事業所で介護保険サービスに付随して提供されています。

最近、介護保険法改正で介護保険報酬が下がったために、事業者も新たな保険外サービスを提供するようになりました。具体的にはお泊まりデイサービスや滞在延長、身体づくりに関するものなど。

ただし、同じ事業者が介護保険サービスと介護保険外サービスをおこなっていると、どちらか見分けがつきにくく請求時にトラブルが起きる可能性があるので注意しましょう。

お泊りデイサービス

お泊りデイサービスとは、通常日中で終わるデイサービスを、そのまま夜間まで引き続き利用して宿泊できるサービスです。

通所介護の延長利用は保険対象サービスではありますが、事業者の負担が大きく、あまり利用されていません。一方で、保険対象外のお泊まりデイサービスは家族の外泊などの際によく利用されています。

高齢者の見守りサービス

核家族化が進んだことで、成人した子供と高齢の親が離れて暮らしている家庭も多くなっています。離れていると親が健康に元気に暮らしているか、トラブルに巻き込まれていないかといった心配が尽きません。

高齢者の見守りサービスはそのようなニーズに対応して、代わりに親の見守りサポートをしてくれるサービスです。

配食サービス

介護保険外サービスにおける配色サービスでは、高齢者の自宅に食事を届けてくれる

配食サービスは、高齢者の自宅に食事を届けてくれるサービスです。

高齢者にとっては毎日三食料理を作ることは大変です。また身体に不調があり買い物にいくことが難しいケースもあります。

配食サービスは、届けてくれるだけでなく、利用者の健康状況などにも配慮され、噛む力の弱い高齢者向けに食べやすい形で提供しています。

訪問理美容サービス

外出することが難しい高齢者向けに、訪問してヘアカットやハンドケアなどをおこなうサービスを訪問理美容サービスといいます。

理美容の中心はヘアカットなど髪のケアですが、ネイルやマッサージ、メイクなども対象。訪問理美容サービスは介護保険外サービスですが、自治体によっては利用に対してクーポンなどの補助をおこなっているところもあります。

地方自治体サービス

介護保険外サービスは全額実費負担になりますので、利用者にとっては金銭的に重荷です。そこで各地方自治体によっては、それぞれ独自の補助をおこなっているところもあります。

地方自治体による支援サービスの対象者は、原則としてその市区町村に住民票がある高齢者限定です。

どのようなサービスがあるのか、各自治体がおこなっているサービスについて一例を見ていきましょう。

おむつの支給・おむつ代の助成

高齢者向けのおむつやパット、リハビリパンツをを無料で配達してもらえるサービスです。

おむつは通常、介護保険対象外ですが、数が増えると金額的にも負担になります。施設におむつが持ち込めない場合は、購入費用分の金額が支給されるサービスもあります。配られるおむつの種類や数量、自己負担額などは各自治体によって異なります。

緊急通報システム

緊急通報システムとは緊急通報装置を自宅に設置。急に具合が悪くなって倒れてしまったり、火災や地震などの緊急事態が起きたときに、民間のセンターに通報してくれるサービスです。

基本的に24時間いつでも救助にきてもらえます。緊急通報システムは高齢者の安否を知るうえで大切なシステムなので、自治体から月額料金や初期費用の助成があるケースが多くなっています。

介護保険外サービスのメリット

介護保険外サービスのメリットは、高齢者の生活の質(QOL)が上がること

介護保険外サービスは全額自己負担になりますが、サービスは活況です。介護保険外サービスを利用するメリットには以下のようなものがあります。

  • サービスの幅が広がる
  • 家族の負担を軽減できる
  • 生活の質(QOL)の向上に繋がる

サービスの幅が広がる

介護保険の対象サービスは介護保険法によって利用条件などが決められています。それに対して介護保険対象外サービスはニーズにあわせてサービスの幅を自由に広げることができます。

最近では、AIやロボットを活用した介護サービスも登場しています。今後はさらにIoT化が進み、革新的なサービスが出てくることでしょう。

家族の負担を軽減できる

介護保険ではあくまで高齢者の「介護」を主眼においているので、それ以外のサポートはすべて家族が負担することになります。

例えば料理を作ったり、ペットの世話をしたりという生活面での補助も介護保険対象外サービスでは利用できるので、家族の負担を軽減することにつながります。

生活の質(QOL)の向上に繋がる

高齢者の方の生活スタイルや趣味、考え方は人によってさまざまです。高齢者の生活の質(QOL)を高めるために介護保険対象外サービスは有効です。

補助があれば旅行に行くことも、コンサートに行くことも可能。高齢者が充実した毎日を過ごすためには、介護保険対象外サービスの利用も一案です。

介護保険外サービスのデメリット

介護保険外サービスのデメリットは、金銭的な負担が大きいこと

介護保険対象外サービスにはメリットが多い一方で、デメリットもあります。介護保険対象外サービスのデメリットについては下記の通りです。

  • 金銭的負担が大きい
  • 不要なサービスが提供される可能性もある

金銭的負担が大きい

介護保険対象のサービスであれば自己負担額は費用の1割(収入よっては2~3割)ですみます。しかし介護保険対象外サービスの場合は、全額を負担しなければなりません。

便利だからと利用しすぎると、気づけば予算がオーバーしているなんてこともあり得ます。介護保険対象外サービスを利用する時は、ケアマネジャーにあらかじめ相談してアドバイスをもらってからにした方が良いでしょう。

不要なサービスが提供される可能性もある

介護保険対象外サービスは金額もサービス内容も自由であるために、必要のないサービスを高額でおしつけられてしまうケースがあります。

高齢者の方も強く出られると上手に断れなかったり、密室の中で断りにくい雰囲気をになったりすることも。保険外サービスを利用するときは、ちゃんとした業者かあらかじめ確認しましょう。

介護保険外サービスは計画的に利用しよう

介護保険対象外サービスは、高齢者の生活の質を向上させる大切なサービスです。ただし、金銭面で負担があるので、利用は予算を考えながら計画的に利用しましょう。

また、介護保険外サービス業者も玉石混交なので、まずはケアマネジャーや市町村の窓口に相談してください。評判の良い業者を紹介してくれたり、どのようなサービスに強いかといったことも聞くことができます。

介護保険サービスと介護保険外サービス。両方のバランスをとって、より良い介護を目指しましょう。

介護保険外サービスに関するよくある質問

介護保険外サービスはどのようなことをしてくれますか?

介護保険外のサービス内容は主に「外出支援」「高齢者の見守り」「配食」「訪問理美容」などが挙げられます。サービス内容は幅広く、家族旅行の付き添いや、ペットの世話にも対応しています。

介護保険外サービスは誰でも利用できますか?

介護保険サービスは要介護認定を受けている人からを対象としているサービスもある中、介護保険外サービスでは利用制限はなく、誰でも利用することができます。

介護保険外サービスを利用することでどんなことが期待できますか?

「サービスの幅が広がる」「家族の負担を軽減できる」「生活の質の向上につながる」といったことが期待できます。

介護保険サービスの場合、利用者のニーズにすべて応えるのは難しいです。しかし、介護保険外サービスを利用することで補助があれば旅行に行くことも、コンサートに行くことも可能で、充実した生活を送ることができます。

この記事の執筆者

いい介護 編集部

「いい介護」の記事を編集・執筆する専門チームです。介護コンテンツのベテラン編集者や介護施設職員の経験者など、専門知識をもったスタッフが、皆さまの介護生活に役立つ情報をお届けします!

介護保険外サービスとは?内容例やメリット・デメリットを解説 – 日刊介護新聞 by いい介護 (e-nursingcare.com) 記事を転用させて頂きました。

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