★皆様は、看取りという言葉を聴いてどのような事を連想されますか?
身体的、精神的苦痛を緩和・軽減することが「看取り」ですが、
皆様は、「看取り」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
人は終末期を迎えると延命治療ではなく、病気によって生じる身体的な苦痛を軽減させる緩和ケアに治療方針を切り替える事があります。
もちろん本人の意思やご家族の意向によります。
最後の最後まで戦いたい、生き延びる事を諦めたくない方も居られます。
本人は苦痛からの解放や穏やかに最期を迎えたい一方でご家族は最後まで命をつなぎとめておきたいと双方の意見に違いが生じる事もあります。
大切なことは、本人の意思で最期の迎え方を決めてもらい、家族はその意思を受け止める準備する事です。延命だけが幸せな最期ではない事、家族も現実を受け止める覚悟や準備をする事を心の片隅にでも置いていてください。
大切な人の「看取り」は時にご家族の心に大きなダメージを与えるものです。
事前に準備ができる状態であれば心に受ける精神的ダメージを少しでも軽くすることができます。
家族や介護者が本人のそばで世話をすることで安心して最期を迎えてもらうという考え方もあります。別れは辛いものです。
しかし、大切な人の死後の、どのような人生の歩み方をするのかを考える時間も必要なのです。
今回は、その「看取り」に関連する事柄について書いていきます。
看取りができる施設、できない施設
病気の進行が末期の状態まで進み、治療が困難と判断された場合に病気の進行を遅らせたり、身体に苦痛が生じる事があれば、その痛みを緩和する処置が行われます。
もちろん医療行為になるので医師や看護師が常駐、あるいは患者の身体の管理ができる状態でなくてはなりません。「緩和ケア」とも言われます。
緩和ケアを行える施設が即ち「看取りができる施設」と言えるでしょう。
反対に「看取りのできない施設」とは、グループホームのような利用者がともに生活し、病気の治療やリハビリ等を実施する事で体の機能を取り戻す「回復を目的とした施設」である事です。終末期を迎える準備をするのではなく、リハビリや通院による治療をもって病気や身体の障害と付き合う事を目的としています。
ひとくちに「老人ホーム」といっても民間の企業や法人が主体となって運営している場合や、公共の施設などがあり入居者の生活状況や身体の状態ごとに用途が分かれています。
受け入れる施設側も多様なサービスを提供しているので、申込み前には細かいチェックが必要です。
看取り介護とターミナルケアの違い
終末期を迎える方が日常生活を送る上で支障が出る場合に食事や排せつの介助、寝たきりの状態で起こってしまう褥瘡(床ずれ)の防止など身の回りのお世話をするのが俗に言う「看取り介護」です。
一方でターミナルケアという言葉を聞く事があると思います。
ターミナルケアはそこに医療行為が入ります。
ターミナルケアを日本語訳すると「終末期医療」もしくは「終末期看護」と言う意味を表します。
言葉が指し示すように、痛みを緩和する薬など必要に応じた点滴や去痰、バイタル管理や酸素吸入などの医療行為を施すことです。
違いはありますが、どちらの場合も人の命の灯が消えるその瞬間までいかに自分らしく、自分の理想に近い形で終わりを迎えられるかを追い求めていると言えるでしょう。
「自分らしい人生の終え方」をゴールと考えた時に最後まで手を尽くして病と闘いたいと思うのか、ありのままの状態を受入れ自分らしくできるだけ痛みを緩和したうえで最期を迎えるのか選択するのはご自身です。
しかし、寄り添う家族には責任が伴うものです。
家族の意見が聞けるうちにしっかりと話し合い、意見のすり合わせや意思の相違を防ぐ対策を行うようにしましょう。
死後の対応
入居している施設によって異なりますが、入居者が亡くなった時点で医師による死亡確認を行い、臨終の時間を告げ、看護師や職員、もしくは葬儀社等の専門の方によるエンジェルケアが施されます。
ご自宅でお亡くなりになった場合だと少し手順が異なります。
前触れや準備もなく自宅で死亡した場合、その死が病気によるものなのか、事件や事故の可能性はないのか、など警察が関わってきます。
そこで検死や検案が行われるため理想とする「看取り」の形にはならない事がケースもあります。
そのため、前もって終活として本人が準備しているのか、対応する家族へ伝えているのかが重要です。
大切な人を失った時、どんなに気丈な人でも心には大きな悲しみが伴うものです。
その精神状態が身体の健康に大きな影響を及ぼすこともあります。
家族の協力が必要になりますので留意点として頭においておきましょう。
ご葬儀やお墓について
故人の遺志に沿ってお墓の建設や葬儀を行う方が増えています。
故人が生前、エンディングノートなどを用意している場合、要望を遺族が可能な限り実現する事ができます。
それ以外の場合は、遺族の意向に沿ってお墓の手配や葬儀、その他の儀式や手続きが行われることが多いです。
この場合、葬儀業者の方やお墓業者の方などの専門業者からの提案やアドバイスを元に判断や手続きが必要になります。
終末期を迎えると看取りや延命治療の判断、臨終、葬儀やお墓の手配など目まぐるしく状況が変わります。
大切な人の事とはいえ何かと決断する事が多く、ご家族にとっては大変なご苦労や心労がある事と思います。
ご自身の看取りや延命の判断を大切な方に委ねる、というのも酷な事でしょう。
だからこそご自身の意思を示す方法として終活やエンディングノートがあります。
誰しも人は、必ず人生の終焉である必ず死を迎えます。
いざその瞬間になった時に迷いや後悔が生じないように日頃から考える必要があるのです。
預かり先のない高齢者
現代の日本で社会問題になっている事案に「孤独死問題」があります。
家族や親戚とは離れて暮らしている、もしくは縁が遠のいてしまい独り身で暮らしている方が年々増加しているのが要因です。
人それぞれ様々な事情があり独居状態が続いている、そんな最中もしも病に倒れそのまま亡くなってしまった場合、一体その後はどうなるのでしょうか?
事件や事故の可能性がなく病死である場合、法律に基づいてご遺体を火葬したうえで埋葬します。もしくは、ご遺体の引き取り手を探し引き渡します。
そこにかかる費用は基本的に後日遺族の方に請求されます。
この時、引き取り拒否があった場合には自治体、もしくは公的な機関が行います。
故人に財産があればその中から葬儀費用を賄いますが、無い場合や引き取り手が見つからなかった場合は当てはまりません。
納骨については自治体ごとに異なりますが、一定期間納骨堂等で保管という形で預かります。
その後、無縁塚に合同で納骨されます。
この一定期間後に遺族が見つかり、引き取りを希望されても遺骨を取り出す事はできません。
現在、独り身で今後に不安を抱えている方は多くいるでしょう。
不安を少しでも減らしたいなら生きているうちに葬儀社やお墓業者と契約をしておくことです。
自分の葬儀についてのお話しや死後残るであろう財産のお話し、埋葬する方法やお墓のお話しなど細かに決めておくことが大事です。
葬儀の方法に関しては、信仰している宗教の方法で行ってもらえたり、最近では樹木葬さ散骨、一代のみで永代供養が可能な霊園もあります。
時代に合ったサービスが展開されているので頼ってみるのもいいでしょう。
まとめ
「看取り」と言っても終末期を迎える人の要望や家族との相談、施設や葬儀など様々な事柄を決断することになります。
大切なことは、本人の意思で最期の迎え方を決めてもらい、家族はその意思を受け止める準備する事です。
延命だけが幸せな最期ではない事、家族も現実を受け止める覚悟や準備をする必要があることを覚えていてください。
一般の方で看取りに関して知識が豊富な人は少ないものです。
看取り士呼ばれる専門的な知識を持った方もいます。心配な方は一度相談することを推奨します。
葬儀や相続など幅広くカバーしてくれるはずです。