オーラルフレイルという言葉を最近よく耳にします。オーラルフレイルとは、オーラル(口腔の)フレイル(虚弱)で、口腔機能の低下を意味します。
では次の質問に対して、あなたの答えはいかがでしょうか。
「最近固い物が食べにくくなった」「お茶や汁物でむせることがある」
この2つに該当するとオーラルフレイルと判断されることをご存じでしょうか。高齢者を主体に親睦や社会貢献を目的に活動を続ける私たちの団体、ディレクトフォース(DF)で会員に調査をしたところ「オーラルフレイルの心配がありますか」との質問に「全くない」と答えた人は60%以上でした。
ですが、その中で「むせる、食べこぼす、口が渇く」という症状を持っている人が30%いました。
これらの人は自覚がないまま、「オーラルフレイル」の症状が既に出ているということになります。
オーラルフレイルが進むと全身的なフレイルに陥りやすくなり、ゆくゆくは介護されることにつながってしまいます。
飲み込む機能が衰えると、むせたり、餅を詰まらせたり、といったことばかりでなく、「誤嚥性肺炎」を引き起こすことにもなります。
ではどうしたらいいでしょうか。やはり、嚥下(えんげ)するのに必要である舌の筋肉をはじめ口の周りの筋肉を鍛えることが重要です。
「嚥下体操・健口体操」(別項参照)は、時間がかからず手軽にできるので有用です。
カラオケも仲間と行けば孤立防止にもなるのでおすすめします。
さきいか、たくあんといった固い物を無理のない範囲で食べることも、「噛む」という機能を維持するために大事です。
食べ物と健康の関連でもう1つ大事なのは、高齢者になるほどしっかり食事を摂って体重の低下=低栄養を防ぐ必要があるということです。
1回目でも触れましたが、BMI、コレステロール、血清アルブミンの値が低い人は、これらの数値が正常値の人や正常値より高い人に比べ、寿命が短いとの結果が疫学調査で示されています。
高齢者は炭水化物、脂質、タンパク質をバランスよく食べること。
中でも加齢とともに筋肉が作りにくくなるので、タンパク質が多い肉をしっかりと摂りましょう。
高齢になれば肉は食べなくていい、ということはありません。
体重1キロあたり1グラム(1日)以上のタンパク質を摂るよう、心がけたいところです。
次に、みなさんはご自身で料理をされるでしょうか。
料理をすることは健康長寿にとって極めて重要なことなのです。
これから自分で夕食を作らなければならないとしましょう。
まずは献立を考え、どのような材料が必要か、自宅にあるか、なければ買い物に行かねばならないのか。
いくつかの種類を作るとして、レシピを踏まえ、どんな手順で作っていくかなど、あらかじめ考えておいたほうが効率的です。
このように料理とは極めてシステマチックで認知症予防には最適です。
筆者はリタイア後、「男の料理教室」に通ったことがありますが、なかなか楽しいものでした。
自分の料理で晩酌をするのは格別です。作りすぎて食べすぎたり、飲みすぎたりしないよう、そこだけは注意してください。
2022.11/16 11:00
健康常識を疑え! シニアによるシニアのための健康術 より転用しました。
(ディレクトフォース 江村泰一)
一般社団法人ディレクトフォース(DF、東京都港区、段谷芳彦代表理事)は、「社会の役に立ち、生きがいを感じる」ことを目的として設立。
産学官出身のOB・OG約600人が、「社会貢献と研鑽」「企業支援」「交流交友」の3つの活動を柱に幅広い分野で活躍中。
今年9月、創立20周年を迎え、『DF流 健康長寿の知恵~あなたの健康常識ここが違っていませんか~』(クエーサー出版)を刊行した。
終活に関する記事はこちらをご覧ください。
これからもあなたの人生の終活を
一緒に考えていきたいと思います。!