死の宣告を受けたとき、あなたならどうしますか?
自分をはじめ、大切な家族が死の宣告を受けたときに、絶望と不安のなかで混乱します。
でも「死」というものは、誰にでも平等に訪れるもので、病気や事故での「死」だけでなく、高齢に伴う自然な現象としても「死」は、生を受けたわたしたち全員に訪れます。
昔から「死」に対して考えることに消極的だった日本人も、最近では、「死」を不安と恐怖で待つのではなく、残された時間を充実したものにしようという前向きな考えが、日本全国、ここ沖縄でも広がりはじめています。それでもきっと「死」に対する恐怖や不安は誰にでもありますよね…
「死」を宣告された本人やその家族に対して、残された時間を共に寄り添い、出棺する最期の最期まで一緒に過ごす資格をもった「看取り士」という言葉を耳にしたことがありますか? 今回は、最近映画にもなり注目されている「看取り士」という仕事について、その業務内容や役割、沖縄の看取り士の現状などについてお伝えします。
目次
3.看取り士の主な役割
4.社会的背景と看取り士
5.沖縄県看取り士の現状
6.今後の沖縄の看取り士について
7.まとめ
1.看取りとは?
看取りとは、ご本人や家族が旅立つ前から、身体的にも精神的にもケアして寄り添いながら、残された時間を共にどう最後を迎えたいのか、希望や思いに沿って援助し、支援していくことです。病院などでは延命治療のように、点滴や人工呼吸器など使い、命を延長させる行為がありますが、看取りとはそういった医療行為を行わずに死を受け入れ、あるがままの状態で身体的・精神的なサポートを行うことです。年齢、性別関係なく、その死を一緒に最後まで寄り添う行為のことを「看取り」といいます。
2.看取り士とは
近年、映画や本などでも取り上げられることが多くなった「看取り士」。
日本では2012年に一般社団法人「日本看取り士会」を設立した柴田久美子会長が、看取り士と名乗ったことが始まりです。
私自身看護師として病院で働いていた時にも、沢山の患者の「死」を目の当たりにしました。病状が進み、自らの「死」を口に出すこともなく、意識が徐々に薄れるなか、家族に見守られる方、または家族すらいないなかで、「そのとき」を迎える方を何人も看てきました。その度に「この人は自分の人生を自分らしく終えられたのか?」と、考えることが増え、もう少し良い最期があったのではないかと悩みを抱えながら仕事をしていたのを覚えています。
看取り士は年齢、性別は問わず、一定の条件を満たした者(ホームヘルパー2級以上の資格や看護師免許取得者)が養成講座を受講し、看取りについて学び認定された方のことを表します。医療行為はせず、身体的・精神的な介助、支援を行いながら、本人の意思を尊重し、主に心のケアを重点的に、納棺する最後の最後まで側にいることが出来ます。
本人のみならず家族に対してもサポートするので、本人が亡くなられる前だけではなく、亡くなられた後も、家族の心に寄り添うケアを行います。看取り士は、死に逝く人に寄り添い、そしてその家族を支えるといった「魂に触れる仕事」だと考えられます。
3.看取り士の主な役割として
・本人、家族が前向きに最期を迎えられるための相談
・本人、家族の思いに寄り添いながら生活支援
・実際に息を引き取る際に立ち会い、本人へ家族と共に呼吸法や声掛けを行う
・息を引き取った後の家族への心のケア
4.社会的背景と看取り士
最近の日本では「超高齢化社会」と分類されるほど、高齢化が年々進んでおります。
超高齢化社会になった要因として、少子化が進んだこと、医療技術の発展から平均寿命が延びたことと考えられます。そのため、2025年には、自宅だけでなく、病院や施設でも死を迎えられなくなる「看取り難民」が47万人になるといわれています。そして近年、問題になっている「孤独死」が、ここ沖縄でも実際に起きており、更にこれからの時代、増えることが予想されます。
こうした「最期」を遂げさせないために、国は「病院、施設から在宅へ」といった制度改革を行いました。「最期」の時間を病院での積極的治療よりも、施設や在宅で過ごすことに重きをおいていくということです。そういったことも踏まえ、年々、日本人の「自分の最期」に対する意識も高まっており、終活に関する情報や、生前からお墓、葬儀についてプロデュース、エンディングノートの作成といった自らの「死生観」に興味を持つ人が増えています。
本人、家族が、安心して人生の「最期」を自分らしく迎えられるように、息を引き取る瞬間まで寄り添える「看取り士」が、年々映画や本やメディアでも注目されている理由ではないでしょうか。
高齢化社会、核家族が増えるに伴い、看取り士の需要は今後も増えていくことが考えられ、社会的に重要な役割を担っていくと思われます。
5.沖縄県看取り士の現状
沖縄は長寿県と言われ高齢者が多く、施設やグループホームなども直ぐには入居出来ない状況もあります。そこから更に追い打ちをかけるように、コロナウイルスの影響で、病院の対応が難しく、看護師、介護士といった医療従事者が不足し医療逼迫という問題がおきています。
沖縄の看取り士の需要は、年々少しずつ増えているものの、未だ存在を知らない人も多いため、看取り士という存在を知ってもらおうと、講習会やラジオなどで広める活動が行われており、また新たに看取り士となる人を育てるために、全国各地で資格が取れる養成学校も増えてきています。
6. 今後の沖縄の看取り士について
沖縄はトートーメー(仏壇)やお墓など、独自の祖先崇拝・信仰文化や歴史がある場所です。
金銭的な相続問題などとは別に、トートーメー(仏壇)やお墓の問題で、死の宣告を受けた本人はもちろん、残された家族も悩んでいる事が多く見受けられます。「看取り士」とは、身体面だけではなく、心に寄り添うことがとても重要であり、生前からそういった問題についても、共に考え相談できる第三者として寄り添うことで、本人や残された家族にとって安心できる存在になります。
これからの時代では、独自の文化により多様化しているニーズにも柔軟に寄り添える、「沖縄の看取り士」としての存在が必要とされるのではないでしょうか。
7.まとめ
今回は「看取り士」についてお伝えしました。
人は生まれた時から「死」に向かって歩きはじめ、それは平等に必ずみんなに訪れるものです。「死」を意識したその瞬間から、人は不安、恐怖、悩み、辛さに直面しますが、きっとその時にはじめて自らの人生に向き合い、そして「死」に向き合うことと思います。
それはとても苦しく耐え難いことで、そういった「死」の孤独を感じる時にこそ、「看取り士」は、心に寄り添って共に考え、時には家族よりも身近に、本人の意思を尊重できる存在です。
“良いことも悪いことも本当の意味で自分の人生に向き合い最期を迎える”、ことにより安らかに死を迎えられることと思います。
ひとりでも多く充実した最期を迎えてもらうように努めることが「看取り士」の最大の役割なのではないでしょうか。
「看取り士に頼みたいけど、相談する場所がわからない」「看取り士についてもっと詳しく知りたい」と悩んだ方は、是非、沖縄縄終活案内所へいつでもご相談ください。
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